育成就労制度の最新動向(2025年9月版)
投稿日:2025.09.20
重要
本制度の詳細については流動的です。 告示・省令・運用要領、分野別要件(転籍ルール・日本語水準 など)は今後の公表で変更される可能性があります。この記事は最新公表情報を反映しつつ実務目線で整理していますが、引き続き一次情報の最新版のご確認が必要です。
一次情報:出入国在留管理庁・厚生労働省・関係審議会資料、分野別告示ほか
要約
- 2024年に改正入管法等が成立し、技能実習に代わる「育成就労」が創設。施行は2027年までに段階導入の見通し。
- 日本語は開始前A1相当(N5 等)/特定技能1号への移行時A2相当(N4 等)などの水準が提示されている。分野別基準が設計される想定。
- 2025年9月の最新トピック:分野別の転籍制限期間案(8分野で「2年」、9分野で「1年」)が示され、最終確定に向け調整中。
育成就労とは?
「育成就労」は、人手不足分野で働きながら最長3年で特定技能1号水準まで育成する新制度です。目的は人材育成+人材確保。在留資格名は「育成就労」。
- 目的:人材育成と人材確保(技能実習の主目的整理)
- 期間:原則3年以内
- 分野:特定技能の対象分野から、就労を通じた育成に適した分野を指定
- 家族帯同:原則不可
施行スケジュール(いつから?)
- 2024年6月:改正入管法等が成立。新在留資格「育成就労」を創設。
- 〜2027年:運用設計・告示整備を経て段階導入の見込み(最終確定待ち)。
実務メモ:2025年は当面、現行の技能実習・特定技能を併用しつつ、育成就労への移行準備を進めましょう。
日本語能力の要件(わかりやすい目安)
- 開始前:日本語A1相当以上(例:JLPT N5相当、または相当講習)
- 1年経過時:A1〜A2相当の範囲で分野別に設定
- 特定技能1号への移行時:A2相当以上(例:N4相当)
※分野や告示の確定により水準は変動し得ます。
転籍(職場変更)ルールの最新案
- やむを得ない事情(暴行・重大法令違反等)は転籍可。
- それ以外でも、一定期間(分野別に1〜2年の範囲で設計)働けば本人意向で転籍可という案。
分野別の期間案(2025年9月時点の報道ベース)
- 2年案(8分野):介護/工業製品製造/建設/造船・舶用/自動車整備/飲食料品製造/外食/資源循環
- 1年案(9分野):宿泊/ビルクリーニング/リネンサプライ/鉄道/物流倉庫/農業/漁業/林業/木材産業
※現時点は案であり、最終決定に伴い変更される可能性があります。
監理団体はどうなる?—「監理支援機関」へ
- 技能実習の監理団体は、育成就労では監理支援機関(許可制)に再定義。
- 外部監査人の設置など、許可要件が厳格化。
- 既存の監理団体が業務を行うには、新たに監理支援機関の許可取得が必要。
派遣受け入れは可能?
育成就労では、農業・漁業等の季節分野に限って、労働者派遣を活用した育成就労(労働者派遣等監理型育成就労)の枠組みが検討・設計されています(共同計画の認定など所定の手続きが前提)。
技能実習との違い(クイック比較)
項目 | 技能実習(現行) | 育成就労(新) |
---|---|---|
目的 | 国際貢献(人材育成) | 人材育成+人材確保 |
在留期間 | 1〜3号・最長5年 | 原則3年以内 |
転籍 | 原則不可(例外あり) | 一定期間経過で可(分野別1〜2年案) |
日本語 | 原則なし(介護等を除く) | A1→A2(特定技能1号への移行時) |
受入れ枠組み | 監理団体 | 監理支援機関(許可制・外部監査) |
これから受け入れ企業が準備すべきこと(チェックリスト)
- 日本語教育体制:A1→A2達成支援(社内講座/外部連携/eラーニング)
- 人権・ハラスメント対策:相談窓口、母語対応、苦情処理フロー(監理支援機関と設計)
- 配置設計:分野別の転籍期間案を踏まえ、1〜2年で戦力化するOJTプラン
- 制度移行のロードマップ:現行(技能実習/特定技能)→育成就労への移行想定で社内規程・契約見直し
- 派遣活用の可否:農・漁等の季節分野で需要期の人員計画と法対応を整合