外国人労働者が帰国するとき、公的年金はどうなる?
投稿日:2026.04.18
外国人労働者が帰国するとき、日本で加入していた年金はどうなるのか。受入企業としては、実務上よく確認しておきたいテーマです。
特に、ネパール、ベトナム、インドネシア、ミャンマーなど、日本との社会保障協定がない国の外国人労働者については、日本の制度を前提に考えることになります。
この記事では、帰国時に問題となりやすい脱退一時金を中心に、企業側が押さえておきたいポイントを簡潔に解説します。
帰国時にまず見ること
実務では、帰国にあたってまず脱退一時金を請求できるかどうかを確認することが多くなります。
もっとも、加入状況によっては、脱退一時金ではなく、将来、日本の老齢年金を受け取る話になることもあります。
脱退一時金とは
脱退一時金とは、日本の公的年金制度に加入していた外国人が、一定の要件を満たして帰国した場合に請求できる給付です。
会社で働く外国人労働者については、厚生年金保険に加入しているケースが多いため、帰国時にはこの脱退一時金の取扱いが問題になることが少なくありません。
どれくらい戻るのか
脱退一時金の金額は、加入していた年金制度によって決まり方が異なります。
国民年金は、保険料納付済期間等に応じて、年度ごとの支給額表で決まります。たとえば令和8年度では、6か月以上12か月未満で53,760円、12か月以上18か月未満で107,520円、30か月以上36か月未満で268,800円です。
一方、厚生年金保険は、平均標準報酬額と支給率を使って計算します。そのため、加入月数が同じでも、給料や賞与の額によって金額は変わります。
請求できるかどうか
脱退一時金については、主に次の点を確認します。
- 日本国籍を持っていないこと
- 日本の公的年金制度の被保険者でなくなっていること
- 老齢年金の受給資格を満たしていないこと
- 日本国内に住所がないこと
- 原則として6か月以上の加入期間があること
- 原則として出国後2年以内に請求すること
企業が気を付けたいこと
外国人労働者の帰国時には、年金だけでなく、社会保険の資格喪失、雇用保険、離職票、住民票の異動、在留資格との関係など、確認すべきことが複数あります。
年金についても、「帰国するから自動的に脱退一時金」というわけではありません。加入期間や請求期限を見ながら、必要な手続を進めることが大切です。
ポイント
外国人労働者が帰国するときは、まず脱退一時金を請求できるかどうかを確認し、あわせて請求期限や必要書類を見ていくと実務上分かりやすくなります。
まとめ
外国人労働者の帰国時には、まず脱退一時金の対象になるかどうかを確認することが実務上の出発点になります。
そのうえで、加入していた年金制度、加入期間、請求期限を確認し、必要な手続につなげていくことが大切です。
外国人雇用では、公的年金に限らず、社会保険、雇用保険、在留資格との関係、就業規則や労務管理など、実務上注意すべき点が少なくありません。弊社では、こうした外国人雇用に関する労務管理についても、専属の社会保険労務士が丁寧にご相談に応じております。制度の整理や実務対応でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

