【完全比較】技能実習・特定技能・技人国の違い|外国人採用で迷ったときの判断ガイド

外国人採用を検討する企業様からよくいただくのが、 「技能実習・特定技能・技人国(技術・人文知識・国際業務)の違いが分からない」 というご相談です。

これらは名前が似ていても、制度の目的や企業の受入れ体制、採用後の運用が大きく異なります。 本記事では、3つの在留資格(制度)を比較しながら、どの制度が自社に合うか判断できるように整理します。

まず押さえる前提:3制度は「目的」が違う(優劣ではない)

最初に重要なのは、技能実習・特定技能・技人国は「どれが上位」という関係ではなく、 それぞれ想定される役割(目的)が異なるという点です。

在留資格(制度) 制度の主な目的
技能実習 技能移転・国際貢献(育成・指導を前提)
特定技能 人手不足分野での就労(一定の技能・日本語能力を前提)
技人国(技術・人文知識・国際業務) 専門的・国際的業務への従事(職務内容の整合性が重要)

技能実習制度の特徴

技能実習制度は、人手不足対策を主目的とした制度ではなく、 技能移転を通じた国際貢献を目的として設計されています。

主なポイント

  • 対象職種・作業内容が限定されている
  • 原則として転職はできない(例外的なケースを除く)
  • 監理団体を通じた受入れが一般的
  • 企業側に教育・指導・管理の役割が求められる

向いている企業

  • 監理団体と連携した受入れ体制が整っている
  • 育成・教育を前提として計画的に受入れたい
  • 社内で指導担当・管理担当を置ける

補足(制度の今後)
技能実習制度は、2027年を目途に育成就労制度への移行が予定されており、 今後、制度趣旨や運用が変わります。 外国人採用は短期だけでなく、中長期の運用も見据えた制度選択が重要です。

特定技能制度の特徴

特定技能制度は、明確に人手不足分野での就労を目的として創設された制度です。 一定の技能水準や日本語能力が確認された人材が対象となります。

主なポイント

  • 技能試験・日本語試験等により一定の能力を確認
  • 現場での就労(即戦力性)を前提
  • 同一分野内での転職が可能
  • 生活支援等について、登録支援機関の関与が必要(企業の体制による)

向いている企業

  • 慢性的な人手不足があり、早期に現場稼働が必要
  • 日本人と同じ現場で働ける人材を求めている
  • 採用後の定着まで含めた受入れ体制を整えたい

「転職ができる=すぐ辞める」と心配されることもありますが、 実際には入社前の説明と受入れ後のフォローが丁寧な企業ほど、定着につながりやすい傾向があります。

技人国(技術・人文知識・国際業務)の特徴

技人国は、専門性を活かした業務(主にホワイトカラー領域)に従事するための在留資格です。 審査では、職務内容と学歴・経験の関連性(整合性)が特に重視されます。

主なポイント

  • 学歴・経験と職務内容の関連性が重要
  • IT、設計、通訳、海外営業、企画・マーケティング等が典型
  • 転職の自由度が比較的高い
  • 制度上の生活支援義務はなく、企業側の運用が鍵

向いている企業

  • 専門職を採用したい(職務定義が明確)
  • 業務内容・就業条件を明確に説明できる
  • 労務管理やフォローを自社で完結できる

補足(要件の厳格化傾向)
近年は技人国に限らず、在留資格全般で要件・運用が厳格化する傾向が見られます。 「想定する業務内容で適切な在留資格が取れるか」を、採用前に慎重に確認することが重要です。

一覧で比較:違いが一目で分かるチェック表

項目 技能実習 特定技能 技人国
制度目的 技能移転・育成 人手不足分野での就労 専門業務への従事
転職 原則不可 同一分野内で可
即戦力性 △(育成前提) ○(一定水準を確認) ◎(専門性前提)
受入れの枠組み 監理団体との連携が一般的 登録支援機関の関与(体制による) 企業主体
主な職種 対象職種が限定 主に16分野(2025年12月現在) 専門職中心

結局どれを選ぶべき?判断のポイントは「人材像」と「受入れ体制」

外国人採用において大切なのは、制度名ではなく自社の状況に合っているかです。 次の2点を整理すると判断がしやすくなります。

1)求める人材像(育成か、即戦力か、専門職か)

  • 育成を前提に計画的に受入れたい → 技能実習(今後の制度動向も踏まえて検討)
  • 現場で早期に稼働できる人材が必要 → 特定技能
  • 専門領域で活躍できる人材を採用したい → 技人国

2)受入れ体制(教育・管理・支援をどこまで担えるか)

  • 指導担当・管理担当を置けるか
  • 採用前後の説明・フォロー体制を整えられるか
  • 外部(監理団体・支援機関)と連携できるか

制度選択を誤ると、ミスマッチや早期退職につながることがあります。 「最初の設計」が、採用成功の鍵になります。

Safaltaの支援について(技能実習・特定技能の両方に対応)

Safalta(サファルタ)では、2027年に予定されている育成就労制度の創設を見据え、 現段階で技能実習として受け入れた人材を、将来的に特定技能へ円滑に移行させることを前提とした 中長期的な人材活用を重視しています。

日本国内の監理団体と連携した技能実習の受入れ支援から、特定技能への切替え、 その後の定着支援までを一貫してサポートすることで、 受入れ企業に長く定着し、戦力として成長する人材の紹介に強みがあります。

まとめ

  • 技能実習・特定技能・技人国は目的と運用が異なる制度
  • 「どれが正解」ではなく、自社の人材像と体制に合う制度を選ぶことが重要
  • 制度改正(育成就労)や要件厳格化の動向も踏まえ、中長期視点での設計が望ましい

外国人採用は、検討段階の整理がその後の定着・成果に大きく影響します。
「自社の場合はどれが合うのか」から、お気軽にご相談ください。